ここでは、板金業向けの生産管理システムについて紹介します。板金業における生産管理の課題や解決方法、生産管理システム導入のメリットをまとめました。
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日本において長くの歴史を誇る、製造産業。板金業においても切断や曲げ、表面処理や検査といった数多くの工程が存在し、デジタル化が難しいといわれています。
近年では板金加工機も進化していますが、生産管理は紙やエクセルでの対応が主流。FAXで受け取った注文書や、手作業による加工実績の記録・管理など、デジタル化への課題が残っています。
板金業の生産性向上のためにはデジタル化が必須ですが、根強く残る紙ベースのプロセスが足かせとなっているのが現状です。
また、板金業を含む製造産業では、人材不足が深刻な問題です。人手が足りないことでIT人材の確保が難しいうえ、加工機を無人稼働させることもできません。
生産管理システムを導入している板金工場は増えていますが、実際には生産伝票の発行だけをシステムで行っていることが多いといいます。システム運用への抵抗感があるのかもしれませんが、生産伝票の発行だけでは納期管理が現場任せになってしまいます。
生産伝票をシステム上で発行し、実際の製造進捗管理は生産管理担当者が確認。担当者が工場内を駆け回り、工程を追いかけながら管理を行います。そして、生産変動などが生じた際には、担当者が変更処理に追われ、納期の遅れなどが生じてしまうのです。
たとえば、リードタイムの分析は生産性向上のための重要なポイントです。工程や作業の始めから終わりまでの所要期間において、どの段階にどんな課題があるのかを把握する必要があります。
しかし多くの現場では、「データ収集はしているものの、分析はしていない」という状態。収集したデータは分析してこそ課題解決へつながるのに、データ分析まで手が回っていないというのが現状なのです。
板金業の生産管理を改善するためには、DX化を目指すことが大切です。まずはデジタル化から着手し、紙ベースでのプロセスを変えましょう。
たとえば、製造ラインの自動化やAIを活用した品質管理のほか、生産管理システムの導入がおすすめです。デジタル化によって労働力不足の改善や品質向上を実現し、「業務やプロセス、組織などを変革し、競争上の優位性を確立する」というDX化の目的達成につなげます。
製造工程の進捗管理を適切に行うために、データの可視化を行いましょう。とくに、余剰在庫の可視化は重要なポイント。また、生産変動の発生状況や、標準リードタイムと実績リードタイムの乖離状況、異常な仕掛滞留期間、稼働状況なども可視化することで生産性が向上します。
余剰在庫の削減を実現するために、在庫分析表などを作成します。余剰在庫の品数や金額まで把握できるようにして、どの部材がどのくらい余ってしまうのか、なぜ余剰となるのかを分析しましょう。
生産変動が大きい場合は、業務に悪影響を与えます。そこで生産変動の発生状況を把握するために、内示計画変動のグラフを作成して可視化しましょう。「毎月の生産変動幅が大きい」「前月との計画差異が非常に大きい」という場合は、発注元である親会社へ知らせる必要があるかもしれません。
標準リードタイムと実際のリードタイムを比較することも重要です。各リードタイムの中央値を比較し、どのくらいの乖離が起きているのかを把握しましょう。
また、リードタイムを分析することで、異常な仕掛滞留期間も可視化できます。リードタイムが長い場合、異常な仕掛滞留が原因となっていることがあります。滞留期間を改善しなければ、リードタイムの短縮は実現できません。
工程稼働分析グラフ等を作成し、各工程の稼働状況を可視化します。各工程の製造能力に偏りがある・稼働が極端に低いといった場合は、生産の平準化へ向けて改善策を講じます。
「板金業が生産管理システムを導入したら、実際にはどんなメリットがあるのだろうか」と思う方も多いはず。そこで、板金業に生産管理システムを導入するメリットを紹介。実際にどんなことができるようになったのか見てみましょう。
受注管理では、受注時に原価管理を行うことで、商品ごとの付加価値額の管理を行えるようになります。
なお、マスタデータがなければインプットができないパッケージの場合、カスタマイズすることもできます。とくに別注品や新規品が多い企業なら、カスタマイズを行うことで受注から納品までの流れに沿った管理ができます。
とある事例では、パッケージをカスタマイズすることで自社にマッチした発注管理を実現しています。
とくに労力を要したのは鋼材の注文書であり、仕入先によって重量単価が少々異なることがありました。そこで、JIS規格に沿った端数の丸め方に各社で統一してもらうことで対応。また、鋼材の材質や板厚、ビニールの有無、定尺材、スケッチ材など、異なる単価を網羅できる単価マスタを作成しました。さらに、単価設定業務を簡素化し、頻繁な単価変更にも柔軟に対応できるようにしています。
そのほかにも、外装の注文書もカスタマイズ。色番やメッキの種類が出力されるようにしているほか、注文書にアイソメ図を挿入できるようにして、一目での管理を可能に。
また、部品等に関する材質や型番欄を充実させ、カタログ品でも間違いなく発注できるようにしています。
なお、こちらのケースでは、鋼材・部品・外装・支給品の4種類の注文書フォーマットを用意しているそうです。
工程管理では一部品ごと・一工程ごとの管理を選択。作業書には指示書が付随するようにし、指示書には現品票が付随しています。
まず、ひとつの受注があると、受注ナンバーが任意で設定されます。そして所要量が自動で計算され、工程スケジュールを設定して指示を出す流れ。次工程に間に合うように発注管理を行うことができます。
そのほかのメリットとして、最終のASSY工程に間に合うような工程管理が可能に。一つの製品でも各部品のリードタイムはさまざまですから、適切な工程管理を行うこと重要なポイントです。
また、進捗管理では、各工程の実績入力から、手配残の管理や先の工程管理を実施。進捗管理の精度を高めています。
さらに、作業指示書で目標工数を確認できるようにすることで、実績工数との比較も行えるようになっています。
生産管理システムの導入によって一元管理を行えるようになり、受注と発注が連動。そのため業務軽減が図れるようになったうえ、受注予測や支払い予測の精度もアップ。管理レベルの向上を実現できました。
参照元:仁張工作所|板金加工業向け生産管理システムの確立(https://n-bankin.jp/media/kiji.php?n=818)
引用元:ネクスタ公式HP
(https://smartf-nexta.com/)
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