業務の見える化を促す生産管理システムの「POP」機能

生産管理の見える化は多くのメリットがあります。見えづらい問題を抽出し、機器のトラブル対策も期待できるのです。

業務の見える化とは？

業務の見える化は、業務の進捗状況や設備や機械の稼働状況など、数値やグラフなどでわかりやすくすることを指します。業務の見える化は業務効率化を図る上でも重要です。

業務の見える化によるメリット

メリットとして挙げられるのが、製品の不良数などを把握しやすくなること。

製造工程で発生する不良数の把握は重要ですが、分かりづらい部分です。その課題も見える化するとどんなときに不良が発生するか分析できます。原因の特定と改善ができれば、生産性の向上とコスト削減も期待できるでしょう。

また、見える化して得られたデータを社員に共有すれば、社員一人ひとりがリアルタイムで現場の状況を把握することも可能です。割り込みでの業務が対応できるか、などの判断も行いやすくなるでしょう。

製造機械の点検や故障の対策にも役立ちます。製造時の熱や振動など、機器の稼働状態をデータにして数値化すれば、異常な熱や振動を検知した際に対応が可能です。故障する前に異常を予測できれば、修理によるコストや時間の削減にもつながるでしょう。

見える化が進んでいない現場の問題

不良品やトラブルの発生リスクが高い

見える化が進んでいない場合、不良品などの数も把握できず、コストのムダが生じやすくなります。

また、不良品の発生を放置することで顧客からのクレームの発生や、不良品発生の原因である機器の故障なども懸念点です。不良品の増加に対応するため、納期遅れを回避しようとして重大な事故に発展するなどのトラブルも考えられます。

情報や管理状態を把握できない

開発や生産・運搬など、生産現場で必要な情報が見えない場合、欠品や誤配送などのトラブルにつながります。また、現場でのデータが見えない状態ですと、生産計画にも問題が生じるようになり、在庫の過剰発生などを招く恐れもあるのです。

業務の見える化を進める上でのポイントは？

行動できるようにする

見える化によって問題の原因と、何を改善するべきかが把握しやすくなります。見える化を行うと同時に進めておきたいのが、行動をすること。改善案を考え、速やかに対策を行えるようにすることで、トラブルにもスムーズに対応ができるようになるでしょう。

価値観が変わるような見える化

見える化によって従業員の当事者意識を芽生えさせることも可能です。自分の業務だけでなく、他のラインや部署の業務も把握できるようになれば、問題に対して今自分がどのような対策を行うべきかを考え、対策できるようになるため、従業員の質を高めることにもつながるのです。

マネジメント基盤を意識する

どの企業にも経営上の課題はありますが、安易に他の企業の対策を模倣しても課題につながるとは限りません。業務・経営上の問題点を見える化することで、普段気づかなかった管理上の問題点に気づけるようになります。見える化を進めながら一つ一つに対処することで、マネジメント基盤をより強固にしていくとよいでしょう。

生産管理システムの「POP」機能について

POPは生産時点情報管理

POPは「Point of production」で生産時点情報管理のことです。機械設備や作業時間など、各作業工程での情報を集め、管理するシステムがPOPです。

製造現場において、誰がどの作業をいつ始めたか、またはいつ終わったかをリアルタイムで把握できます。機械設備とPOPを紐づければ、1製品の工数やコストもわかるのです。製造の実績がわかるようになるので、計画のズレやトラブルにも対応しやすくなるのです。

POPのメリット

生産現場での進捗を管理できる

生産管理システムのPOPには、型番、ロットの受付、作業の開始から終了、払い出しまでの情報を自動認識できる機能があります。生産進捗情報が把握できるようになれば、優先順位や資材計画、工程間の動機計画立案なども行いやすくなるでしょう。

タクト時間の算出も可能

製造原価を算出するには製品1台、部品1個を作製するためのタクト時間を把握が必要です。正確に把握するには手間もかかります。POPシステムはタクト時間の算出と作業開始・終了時間の把握ができるので、コストの削減にも繋げられます。

機械稼働率を効率化できる

機械の稼働率を上げるには適切な管理が必要です。非稼働の理由と、対策を講じることで稼働率を上げることができるでしょう。

POPシステムは非稼働時間の発生時、理由を入力することができるため、管理者は容易に非稼働の理由と状況を把握できます。

品質と保全が向上する

POPは各工程の作業履歴をリアルタイムで集めて分析できます。不良品の確認と分析を行うことで、スピーディーな対策が可能。製品の品質向上・保全に役立てられるでしょう。

まとめ

生産管理システムが存在しない時代では、生産管理は担当者の手作業で管理されていました。管理するデータ量が膨大であるため、担当者の負担が大きく、また管理上の人的ミスによるトラブルや原因特定の困難さが課題となっていました。

生産管理システムはほぼ自動でデータの収集を行ってくれるほか、データをわかりやすく表示することが可能であるため、生産管理での負担やミスを抑えることに役立ちます。見える化はさまざまな企業にとって重要であるため、対応策のひとつとしてこうしたシステムの導入も検討してもよいでしょう。