個別受注生産向けの生産管理システムについて

個別受注生産を円滑に行うには、個別受注生産向けの生産管理システムを導入する必要があります。

ここでは、個別受注生産向けの生産管理システムについて特徴やメリットを解説します。

個別受注生産とは

個別受注生産とは、注文ごとに仕様を設計・製造する生産方式を指します。ユーザーの要望に沿った生産には個別受注生産が適していますが、設計に基づいて資材の調達や製造を行う必要があるため、注文から完成までに時間がかかるのが特徴です。

多品種少量生産には向いていますが、大量生産には不向きの方式といえるでしょう。

ただし、顧客の細かな要望に応えやすいのは個別受注生産です。また、資材や製品の在庫を抱えなくてよいことから、保管・管理コストの削減も可能です。

個別受注生産には良い点がある一方で、いくつかの課題もあります。

まず考えられるのは、生産性の向上を阻害する点です。生産管理システムを利用するにしても、個別受注生産には柔軟性の高い多様な機能性が求められます。そのため、機能が不足しているシステムを活用していると、生産性の向上を阻害することになりかねません。

また、個別受注生産は納期が遅れやすいという点も課題です。顧客のニーズに応じた仕様にするために、何度も仕様変更を繰り返すことがあります。そのため、製造が遅れたり一時的にストップすることも多く、納期が間に合わないことが多々あります。

個別受注生産の場合は生産工程で原価が高騰したり、原価が膨れ上がってしまうこともあるでしょう。原価現状が把握できないと赤字につながることもあります。

個別受注生産の課題をクリアにするには、個別受注生産向けの生産管理システムを活用することです。

個別受注生産向けのシステムなら、生産計画から工数、納期、在庫や原価の管理まで一元管理することができます。

個別受注生産向けの生産管理システムは、さまざまな業種・業界で導入されています。

このように、機械用部品や半導体製造などで活用されています。

個別受注管理ではトライアンドエラーによる仕様変更や、顧客からの要望に応じた仕様変更など、仕様変更が何度も繰り返すことは珍しくありません。生産管理システムにおいても、イレギュラーな対応にも柔軟に対応できる性能が求められます。

システムにはオンプレミス型・クラウド型があり、現場の状況に合わせた管理が可能です。個別受注生産向けの生産管理システムを導入することで、複雑な管理を可視化することができます。

個別受注生産向けの生産管理システムにはさまざまな機能が備わっており、以下のようなことができます。

システムの主要な機能が、生産管理です。

これらのことを、受注情報をもとに管理します。

生産管理・受注情報をもとに、必要な部材や原材料など、資材の数量や時期を算出します。自動で算出されるため、在庫や生産コストの軽減が見込めます。

生産スケジュールにもかかわる購買管理を行う機能です。資材の発注・受け取り・品質管理・支払いなどを一元管理します。

製造現場の工程を管理する機能です。製造現場の状況を見える化することで、業務の効率化や納期遅れを防ぎます。機能によっては作業ごとに工数実績を計上することも可能です。

在庫管理では、材料・部品・仕掛品・完成品をまとめて管理できます。在庫の動きをリアルタイムで把握でき、製造計画通りに製造をすすめられます。

製造原価を把握できる機能です。製品やロットごとの原価計算、実績原価と標準原価の比較などを行うことで、見積もりの精度とスピードの向上を実現できます。

これらの機能以外にも、品質管理や顧客管理など、個別受注生産に必要な機能があるため、自社の課題に沿った機能を見極めることが大切です。

システムを導入することで得られるメリットは多数あります。

まず、個別受注生産の大きな課題である業務の効率化を図ることができます。これまで紙やExcelで行っていた業務をすべて自動化することで、効率化はもちろんヒューマンエラーの削減も可能です。

顧客の要望管理から業務指示、担当者の実績状況なども一元管理することで、情報の把握や伝達、改善もスムーズになります。部門を超えて管理することで、受注から納品までの期間短縮にもつながるでしょう。

在庫の管理や把握もナレッジができ、原価計算のスピードも向上します。システムによっては原価変動もリアルタイムに把握できるため、仕様変更による見積もりの再計算も容易にできます。

そして、これまでは人が行ってきた管理をシステム化することで、属人化を防ぐことが可能です。業務の境目を感じることなく、生産体制を構築できるようになります。

これらのメリットを考えると、複雑な生産管理を手軽にするには個別受注生産向けの生産管理システム導入が欠かせないでしょう。

個別受注生産向け生産管理システムには大きく2つの種類があります。

ひとつめは特化型のシステムです。生産の効率化と生産性向上には、特化型の管理システムが適しています。リアルタイムの情報を可視化する機能が備わっており、個別受注生産が抱える課題をクリアにしてくれます。

もうひとつのハイブリッド型は、個別受注生産や少量多品種生産、見込み生産など複数の生産方式に対応しています。異なる生産方式を管理する場合には、ハイブリッド型が適しているでしょう。