生産管理システム導入の失敗例｜成功するポイントは？

生産管理システムの導入に失敗すると、生産だけでなく品質管理や原価管理、在庫管理などのさまざまな部門に影響が及ぶおそれがあります。導入後に後悔してしまわないためにも、生産管理システムは慎重に選びましょう。

生産管理システム導入でよくある失敗例

せっかくコストや工数をかけて生産管理システムを導入したのに、失敗してしまうのは以下のようなケースです。

全体の最適化ができない

生産管理システムは、生産管理におけるさまざまな部門を一元的に管理して全体を最適化するシステムです。部門ごとに課題を解決しようとした結果、全体の最適化ができず中途半端な効果に終わる可能性があります。

投資すべき費用や費用対効果が分からない

生産管理システムを導入するにあたり、明確な目標を掲げないと費用対効果を把握できず、投資すべき費用を見いだせません。運用前と比較しても成果が見えにくいため、担当者のモチベーション低下にもつながってしまいます。

自社の生産方式に合っていない

生産管理システムには、連続生産に向いているタイプとロット生産タイプ、見込み生産タイプ、受注生産タイプなど、生産形態によって種類があります。自社の生産方式に合った生産管理システムを選ばないと、思ったような運用ができません。機能を追加するために想定外のコストと時間がかかる場合もあります。

システムを使いこなせない

生産管理システムは、機能が豊富であれば良いというわけではありません。機能豊富でハイスペックなシステムでも使わない機能が多い、または高価な割に拡張性の低いシステムだと、生産管理システムを導入したところでコストが増大するだけです。自社の生産状況や課題に対して費用対効果を検証し、適切なスペック・費用のシステムを導入することが全体最適化につながります。

社内に受け入れられず浸透しない

生産現場が使いこなせない複雑なシステムを導入しても、受け入れられず従来の手法のまま業務が行われてしまう可能性があります。システムの価値を理解されないまま放置されてしまっては導入の意味がありませんし、いつまで経っても最適化は実現しません。導入の際には現場の要望を取り入れながら、受け入れられるシステムを選ぶことが大切です。

トップの理解を得られていない

経営陣やトップの理解を得られないまま生産管理システムの導入を検討しても、調整が進まずプロジェクトそのものが頓挫してしまう可能性があります。経営陣に対し、生産性向上や生産管理の最適化について重要度や必要性をしっかりと説明した上で、理解を得られた上で導入を進めることが大切です。

導入失敗によるリスクは？

生産管理システムの導入に失敗してしまうと、導入にかかったコストはもちろん、システムの運用にかかるランニングコスト、保守サポート料がムダになってしまいます。導入コストは選定したシステムによってさまざまですが、場合によっては数百万円～数千万円のコストがムダになることもあるでしょう。

コストだけではありません。システムの選定や導入準備には人手や工数もかかります。データの入力や管理を行う担当者の業務工数や負担が増加しただけに終わってしまう可能性が高いです。生産管理システムの導入で生産の効率化を目指したはずなのに、逆に生産効率を下げてしまうことにもなりかねません。

生産管理システム導入を成功させるポイント

生産管理システムの導入に失敗しないために、以下のポイントを押さえた上で導入を検討しましょう。

自社の問題や課題を把握しておく

生産システムの導入を成功させるために重要なのが、目的を明確にすることです。自社の抱える問題点や課題を把握した上で、目的にマッチする生産管理システムを選びましょう。

このとき、生産管理システムですべての問題点や課題を解決しようとするのは得策ではありません。一気にすべての問題を解決しようとすると、導入コストやイニシャルコストが非常に高額になってしまうからです。

はじめて生産管理システムを導入するなら、解決したい課題の優先順位を決め、どの優先順位までの問題を解決できるようにするかを決めておきます。コストを最小限に抑えた上で導入し、効果を確かめながら、段階的に課題解決のための拡張を検討していくと失敗するリスクを抑えられます。

自社にマッチする生産管理システムを調べる

生産管理システムの機能やタイプは多岐にわたります。業種・業態や生産方式に特化したシステムもあり、よく分からないまま導入してしまうと自社にマッチしない可能性もあります。コストや工数をムダにしないためにも、どの生産管理システムを使えば自社の問題を解決できるか、導入前にしっかりと調査しておくことが大切です。

ネット上にはさまざまな広告や情報が出てきますが、表面的な情報だけだと、本当に自社にマッチするかを判断できません。生産管理システムを開発・販売している会社に必ず問い合わせて、担当者から直接詳細を聞いた上で検討するようにしてください。

事前に導入テストを行う

生産管理システムは、導入スタート時に多くの社員の時間や工数を使うことになります。生産管理システムの必要性を広く理解してもらい、スムーズに稼働させるためにも、一度に本格導入をするのではなく導入テストを行うことからはじめましょう。

導入テストを行うと、実際の使用感を確かめられるだけでなく、解決できる問題、解決できない問題を把握しやすくなり、導入時に必要な機能やカスタマイズを決めやすくなります。